キルトメイプル SSH トランスブラック

ギャラリーはこちら。

2013年12月にオーダーいただきました。

オーダーならび、コメントの掲載も快諾していただきありがとうございます。

インプレッションは以下です。

【きっかけ】
一時は専業プロとして活動していた時期もあるのですが、ご他聞にも漏れずそれだけではなかなか食っていくことも適わず、今は会社員をやりつつ、時間があるときに音楽活動を続けている(セッション・スタジオ活動など)という状況です。
これまでの年月の中で自分のツール(楽器を含めたシステムとして)は一応完成の域に達していましたが、ここ数年、この先自分が続けていく中で今のままでいいのかどうかという疑問がずっとあり、昨年辺りからツールの整理・見直しを進めていくうち、「1本であらゆる状況に対応できるギターが欲しい」という考えが思い立ち、これまで自分が使ってきた楽器の気に入った部分を集約したギターを作りたいという考えに至り、ネットなどで国内外いろんな工房を探しているうちに偶然こちらを見つけ、コンタクトさせていただいたという次第です。

過去にも何度かアメリカの有名な工房などでオーダーで作っていただいたこともあるのですが、全てに共通して言えたのは、

「ビルダーの目指すものとプレイヤーの求めるものは必ずしも一致するものではない」

ということです。

もちろん製作者としてのこだわり、フィロソフィーはあって当然かと思いますが、それは往々にしてプレイヤーにとって押し付けがましく感じることがままあります。
その点においてはこちらのビルダー様は主義主張を押し付けるでもなく、しかしながらこちらの求めるものに対して出来ること、出来ないことを明確に提示していただきました。
自らがプレイヤーでもあられるため、そちら目線でいろんな意見を出していただけたので、実に中身のある意見交換が出来たことも最終的にお願いするに至ったきっかけでもあります。

無論、お願いする以上は「帯に短し襷に長し…」で妥協するつもりは一切ありませんでした。
ウッドマテリアルや構造、配置含めた操作系の仕様についてはビルダー様からの解説がある通りで、原則としては私の今までに培った経験に基づいて決められたものとなっております。
これがなかなか他所の工房では叶わない部分であり、この柔軟性が他にはない優れた部分の1つではないかと思います。

というわけで、到着した翌日に早速実戦投入しました。

 

 

【インプレッション】
以下のシステムで使ってみました。

Guiter → Effect Board → CAA OD-100SE+ → CAA 112 Cab(w/Scumback H75 SP)

全般的に言えるのは、クリーン・ゲインともにデッドがなく下から上まで素直に出てくれること、それでいてマホボディ特有のミッドレンジがきちんと主張していることですね。
現状はまだ出来立ての新しいボディ、ネックのため、カラリとした抜ける印象はまだ少ないですが、これから弾き込んでいく過程で徐々に解消されていくと思います。

EMGについては賛否両論あるかと思いますが、個人的に今一番信用するに足りるPUであるわけでして、特にXシリーズについてはエフェクトの乗りの良さ、ノイズレスは受け継ぎつつ、アルニコマグネットと18Vオペレーションのおかげであまたのパッシブに負けない繊細なニュアンスが出せるPUで、現在凄く気に入って使っているものです。
FRTは本家ではなくシャーラー製を指定しましたが、Lockmeister自体がFRT構造の中でもかなり軽量の部類に入るユニットなので、よく言うFRTの音ではなく木の音もきちんと伝えてくれています。
コントロールの操作性ですが、STに良くあるレイアウト、特に5wayブレードが自分的にはかなり使いずらく感じていたので、Aircraft AC-5などで採用されていたトグルスイッチ方式にしました。
特にリアハムからスイッチ1発でハーフトーンに切り替えられるのはストレス低減に貢献しています。
PUがなにせEMGなのでトーンコントロールは不要と感じていたので取り払い、その代わりにSPCを組込んでフロントでハムっぽい太さを出せるようにしました。特にクリーンでは効果絶大ですね。
ホロウ構造(これはひとえに軽量化が第一の目的でした)のせいか箱モノっぽい響きも出せるのは嬉しい誤算だったといえるかもしれません。

クリーントーンでの指弾き(スラップやオクターブ奏法など)で特にその傾向を感じます。
自宅では諸々の事情からFractal Audio Axe-FXを使っていますが、この手のシミュレーター経由でもチューブアンプとなんら変わらないクオリティの音をアウトプットしてくれています。

ネック自体のプロファイルは今回オーソドックスな仕様でお願いしましたが、このオーソドックスというのが実は一番厄介なもので、この辺は指板周りの処理含めてビルダー様の考えがきちんと反映されている部分かと思います。見た目以上に凄く扱いやすいです。
塗装は今回あえてポリでお願いしました。ラッカーはどちらかといえばヴィンテージスペックでこそ活きるという考えがあって、今回のようなコンポーネント仕様で耐久性重視の場合はむしろポリのほうが合っているイメージがあったのでそのとおりにしてもらいました。

色味もトランスブラックと言いながらも、実際はブラウンに近い「シガーブラック」とも言える色で、これはビルダー様に今まで使っていたメインギターの画像をお送りし、これをベースに仕上げて戴いたものです。

もう少し弾き込んでいけばまた違った面も見えてくるでしょうし、将来的にはアクティブPUからパッシブPUに替える可能性もある(それを見据えたPUキャビティの加工にしてもらっています)ので、いろいろ試しながら育てていきたいなと考えております。
とにかく、現時点では十分満足のいく出来で、価格以上の価値のあるギアに仕上がったかと思います。

最初にオーダーを打診して完成までほぼ8ヶ月(これは私の事情で納期を調整してもらったことによるものです)かかりましたが、待った甲斐がありました。
ビルダー様にはいろいろご無理やわがままを言わせていただきましたが、それに応えていただき感謝の一語に尽きません。あたらめて御礼申し上げます。
オーダー再開の暁にはまたお願いするかと思いますので、そのときは宜しくお願いいたします。

2024年

5月

16日

組み込み完了

組み込みが完了しました。

PUはSeymour Duncanの組み合わせになります。

弦を張るところまで進めてあります。

最終セットアップをして完成となります。

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